離婚の話し合いが、うまくいかないとき
離婚をするには、夫婦間で十分に話し合って合意し、離婚届を市区町村役場に提出するという方法が採れます。夫婦間で十分に話し合って出した結論ですから、これが一番よいといえるかもしれませんね。このような離婚を「協議離婚」と言います。諸外国の法律を見ても、協議離婚を認めている国はほとんどありません。我が国独特の制度といえるかもしれません。
しかし、夫婦間で十分に話し合いができない場合もあります。一方が離婚の話し合いにすら応じてくれない、子供をどちらが引き取るかで揉めている、家のローンをどうするかで結論が出ない等という場合もあります。こういう場合には、家庭裁判所に『夫婦関係調整』の調停を申し立てることになります。調停委員をはさんで双方の言い分を聞き、話し合いで解決しようというものです。調停が成立すれば、調書が作成されます。この調書を市区町村役場に提出すれば、離婚をすることができます。このような方法による離婚を「調停離婚」と言います。
調停が成立しない等の場合には、家庭裁判所に提訴して、裁判によって離婚を求めることになります。これを「裁判離婚」と言います。協議離婚や調停離婚と異なるのは、民法で定められた離婚原因がないと離婚ができないということです。
財産分与の請求
離婚をする場合、一方が他方に財産上の給付を請求することができます。これを「財産分与」と言います。財産分与の性質についてはいろいろと議論がありますが、分かりやすく言えば、夫婦が共同して築き上げてきた財産は夫婦の共同財産であるから、離婚する場合には公平に分割しましょう、というものです。具体的にどの財産を、誰に分与するかは、話し合いで決めることになりますが、話し合いがつかなければ、調停や審判の手続を利用することも可能です。気をつけなければならないのは、必ず半分もらえるとは限らないということです。なお、財産分与の請求は、離婚時から2年を経過すると認められなくなりますので、注意が必要です。
面接交渉権
未成年の子供がいる夫婦が離婚をすると、その子はいずれか一方に引き取られることになりますね。子供を引き取った親がその子供の具体的な面倒をみることになります。その親のことを「親権者」と言います。親権者とは別に「監護者」という者を決めることもできますが、実際上はあまり多くありません。
親権者は、子供の監護教育、財産管理を行います。子供を引き取らなかった他方の配偶者は、子供が成人するまで、一定額の養育費を支払う必要があります。この他方配偶者は、子供が成人するまで一切子供に会えないのか、というと、そういうことはありません。たとえ別に暮らしていても、親が子供に会うのはごく自然なことです。そのため、「面接交渉権」というものが認められています。しかし、いつでも好きな時に子供に会えるというものではありません。あくまでも子供の気持ちを大事にする必要があります。子供が自分の意見を表明することができる年齢になるまでは、親同士で面接の時期、場所、方法等を決めて面会を実施するのがよいといえます。