最近、建物の貸主から、よく相談を受けます。
賃借人が賃料を支払わないとか、賃貸人の使用が雑だとか、賃貸借トラブルが多いようです。
昨年の大震災以来、不動産を所有するリスクを考慮して賃借にしようとする動きがあり、それに伴い賃貸借契約トラブルが増えているようです。
先日相談を受けた人は、契約書のチェックなのですが、使用方法に違反がある場合に明け渡しが可能か、と相談されました。
これはなかなか難しい話です。
というのは、賃貸借契約を解除できるのは、信頼関係を破壊するような行為をした場合に限られるとするのが最高裁の判例であるところ、賃料の不払いがなく、単なる使用方法の違反は、信頼関係の破壊まで認められにくいからです。
となると、貸主としては、一度賃貸したら、賃料の不払いがない限り、どこまでも貸し続けなければならないのが実際のところです。
使用方法違反により、損害が生じた場合(例えば、キッチンの使用が粗くていたんでしまった場合)には、賃貸人は賃借人に対し、原状回復を請求でき、修理費用を請求できはします。
しかし、退出する賃借人が、そんなに簡単に修理費用を支払うとは限りません。修理費用について争いがある中、退出してしまえば、なかなか回収は難しい。
そうなると、予め敷金として一定額を預かっておくことが重要です。
商店などテナントとして貸す時には、半年分の賃料相当の敷金(保証金)をとるのが当たり前ですし。
ただ、個人相手に賃貸する時、敷金をとるケースは最近は減ってきているようです。
敷金や礼金をとると、借り手が逃げて行ってしまうそうなのです。
しかし、礼金はなくとも、原状回復費用の足しにするため、敷金くらいは取っておくべきです。
敷金を払うことをためらう賃借人であれば、契約を再考するくらいの慎重さが必要だと思います。
契約はその時に将来を予測して行うものですから。
(小倉)