先日、ある高齢者に対する虐待の相談を受けた際、東京と地方での熱意の差を感じました。
これはある地方の施設に入居している高齢者に対する虐待の事件でした。
施設にいる高齢者の財産を、親族が不当に費消していることが疑われた事件でした。
こういう場合、東京であれば、施設を監督する官庁に相談すると、官庁がその施設に事情を聞きに行き、何らかの指示を出してくれることが多いです。
ところが、本件の地方の官庁は、その行動をなかなかとってくれませんでした。
役所に行くと、その課の係長をはじめ、何人か職員が並び、法文とにらめっこしながら、私の提案する方策に次々と疑問を投げかけてくるのです。
「役所として、できることとできないことがありますよ。」、と言いながら、実質はほとんどできません、と言う口ぶりでした。
ここで法律で取りうる手段の限界を議論するつもりはありません、
現段階で取ることができる方法をまずやってほしい、と私は主張しました。
そこで、まず、とりあえず、任意に関係者に事情を尋ねることから始めてもらいました。
この程度であれば、高齢者虐待防止法に照らして、何ら問題はありません。
ところが、この任意の事情聴取すら、役人は躊躇してきました。
法的根拠がない、と言いだしたのです。
私は頭にきて、高齢者虐待防止法の責任主体は市区町村であり、この虐待を放置することは、国賠法による損害賠償責任をもたらすぞ、と警告してやりました。
すると、役人は、ようやく、任意の事情聴取から始めましょう、と同意してくれました。
この始動をつけるまで、役人と喧々諤々の議論です。
これが東京だったら、こういう事例はよくある話なので、すぐ対応してくれるのに、地方はまだまだ意識が低いんだな、と感じざるを得ません。
この後、事件が解決に向かったので、安心しました。
(小倉)