対立する親族が施設で高齢者を囲っている状況下で、先日ようやく成年後見の審判が下りました。
その件は、対立する親族が入居契約者となって祖母を高齢者施設に入居させ、当方の親族や知人に一切面会させないでいた事案でした。
当方の親族が会いに行こうとすると、高齢者施設は親族間の紛争に巻き込まれるのを避けるため、入居契約者の意向を尊重して、祖母の意思という名目で、当方の親族に一切会わせるのを拒否していました。
確かに対立する親族側と当方の親族側とは会社の経営権争いをしていて、祖母さえも経営権争いに引っ張りこんでいるといえなくもない状況でした。
しかし、その陰で、もしかしたら祖母の財産は対立する親族が取得しているかも知れないという危惧さえある状況でした。
そこで私は祖母の成年後見を申し立てて、祖母の財産の流れを明確にするべきであると考えました。
ただ、祖母の判断能力欠如を示す証拠がない。
高齢者施設が当方と面会を拒否している以上、祖母と会って診断書をとることができない。
そこで、私は介護保険認定調査票をとることにしました。
これは弁護士しかとれないのですが、祖母の住民票がある市区町村の高齢者介護保険課に照会をかけ、介護保険認定調査票を提出してもらいました。
なんとその主治医意見書には、祖母が最近認知症になり判断能力が欠如しているとの診断が記載されていました。
そこで、私はこれを根拠に家庭裁判所に祖母の成年後見の申立てをしました。
ただ、申立を受けた家庭裁判所の参与員はとても困惑していました。
裁判所とも相当議論したようでした。
この申立てが相続争いの前哨戦であり、成年後見の本筋から離れているのではないかと異論をはさんできたのです。
けれども、成年後見は本人の保護のために行うのであり、たとえ相続争いの前哨戦であったとしても、本人の財産の流れを明確にして本人の保護を図るべきだと強く主張しました。
説得の甲斐あって、成年後見の申立ては受付けてもらえました。
その後いろいろ障害はあったものの、ようやく成年後見の審判が下されました。
申立てをするまで2か月、申立てをしてから3か月もかかりました。
大変な事件でした。
対立する親族が自分の有利に使うため高齢者を囲っているケースは多いと思います。
成年後見の申立てがそこに風穴を空けることにつながれば本人の保護になると思います。
(小倉)