東京電力の賠償の姿勢に隠れる意図

時事問題_アイコン

時事問題_アイコン昨年から、風評被害を受けた業者の損害賠償請求の事件を受任しています。

 

先日もある業者の損害賠償請求書を東京電力に送付しました。

 

昨日東京電力から回答があり、請求額どおりの満額回答でした。

 

東京電力の規定した指針に沿って損害額を算定しているので、当然と言えば当然なのですが、それにしてもいつも満額回答です。

 

詳細を見ていないのかとも思いましたが、そうではなく、ときどき数字の小さな齟齬を指摘する連絡が来たりしますから、やはり結構細かく見ているのだと思います。

 

先日ビックリしたことがありました。

 

東京電力の担当者から連絡が入り、ある業者の賠償額を算定する基礎資料として、私が提出した1年前の損益計算書を提出し直してくれ、と言ってきたのです。

大震災の起きた平成23年3月11日を含む決算書の前年の決算書を提出してほしい、と言ってきたのです。

 

そうすると賠償額が変わってくることになるのではないですか、と私が尋ねたところ、

「そうです。約100万円上がります。」との返答。

 

えっ!?上がるんですか?

こちらは文句ありませんが、そんなことをわざわざ加害者が教えてくれるんですか・・・

 

通常の賠償交渉ではありえない態度です。

 

東京電力は近い将来の国有化に向けて、賠償義務をできるだけ履行しておいて、問題点を少なくしておきたいのでしょう。

そのため、被害者にできるだけ不満の残らない形の解決を意図しているのだと思います。

 

被害者に悪いという思いより、自身の再建を目指す意欲を感じざるを得ません。

 

そんな東京電力の態度にふれ、誠実をまとった狡猾さを見る思いでした。

 

(小倉)