ある依頼者から、親族である高齢者が別の親族から虐待を受けている、という相談を受けました。
その高齢者はある特別養護老人ホームに入居しているのですが、別の親族から金銭を搾取されている可能性があるというのです。
別の親族が金銭を管理しているのに、短期間のうちに多額が引き出されている、というのです。
特別養護老人ホームにかけ合っても、入居契約の保証人である他の親族の手前、施設側はつれない態度をとってくるのだそうです。
そこで、どこに相談したらいいのかと、私のところに相談に来たわけです。
高齢者虐待が疑われる場合、高齢者が自宅にいるのであれば、地域包括センターに相談するのが適策です。
しかし、高齢者が施設にいる場合には、施設は親族同士の争いに巻き込まれるのが嫌なので、知らん顔する傾向が強い。
そうなると、施設を管理指導する市区町村に相談するのが適策です。
本事件でも、私はその特養を管理指導する市役所に相談をもちかけました。
ただ、市は、結構及び腰でした。
できることに制限がある、と前置きをしながら、要は私を帰らせようとする意図がありそうに見えました。
けれど、そんなことにくじけていられません。
高齢者虐待防止法を引き合いに出して、市区町村の義務と行動範囲を指示して、市に動いてもらうことができました。
市の方から、特養や問題となっている親族にかけ合ってくれたようで、それをきっかけに事態が急転しました。
他の親族が高齢者の成年後見を申し立てたのです。
これを機会に、今後は成年後見人がこれまでの金銭費消を調査することになり、公正な解決が得られる見込みです。
こういうときには、市区町村に相談するのが適格ですね。
(小倉)