今年の5月下旬にジュネーブの国連に行ってきました。
日弁連の国際人権規約(社会権)ワーキンググループの活動の一環として、ジュネーブの国連に報告をしてきました。
日本は国際人権規約を批准していますが、批准国の政府は10年に1度、国連に国際人権規約の国内の遵守状況について報告する義務があります。
日本政府も2009年に報告書を国連に提出しています。
しかし、報告だけで終わりにしていては、日本国内は良くなりません。
日本政府の報告書を批判して、問題点を国連に把握してもらい、国連から日本政府に指導をしてもらう必要があります。
そういう問題点の指摘や改善策の提言のため、日本の代表団の1人として参加してきました。
私のようにろくろく英語ができない人間がそんなところに行くなんて大それた話ですが、そんな活動をする弁護士は意外といなくて、私なんかでも何かの役に立つかもしれません。
国連委員との討論会では、日本の現状に対していろいろな質問が国連委員から寄せられました。
中でも、私は高齢者問題の担当でしたが、国連委員から思わぬ形の質問を受けました。
「高齢者問題はいろいろありますが、一番問題になっているのはどの問題だと思いますか?」
逆質問でした。
国連委員としては、高齢者問題がたくさんありすぎて、1つに絞り切れないといった感じでした。
日本の抱える高齢者問題は、複雑多岐にわたります。
それらを1つ1つその場で挙げることは焦点がぼけてしまいます。
そこで、今回は日弁連の中で相談して、大きく3つに絞りました。
1つ目は高齢者の働く場がないという雇用の問題。
2つ目は高齢女性が高齢男性と比べて年金額が少ないという年金の問題。
3つ目は廃止が決まっている後期高齢者医療制度に代わる制度がまだ構築されていないという医療の問題。
これらを中心に国連に報告しました。
委員は興味深そうに聞いていました。
先進国で高齢者大国の日本に、世界の将来の高齢者社会像を見ているのだろうと思いました。
こんな活動を通じて日本政府が改善策をとって日本国内が少しでも暮らしやすくなることにつながれば活動する甲斐もあります。
(小倉)