私は、東京三弁護士会の高齢者虐待に関する部会に所属しており、専門の相談員として、高齢者虐待に対するアドバイスなどを担当しています。
墨田区の高齢者虐待に関する相談会も、今年で3年目の担当になり、先週相談会を行いました。
相談会といっても、非公開であり、区の職員や地域包括支援センターの職員など、事案の関係者だけからの相談です。
事案の内容については詳しくは言えませんが、今回話題になったのは、地震により倒壊の危険がある建物内に高齢者が閉じ込められている点でした。
災害対策基本法62条では、市区町村は建物に危険がある場合には緊急措置をとる義務があると規定されており、市区町村はいち早く対応しなければなりません。
具体的には、防災課と協議し、高齢者の避難をさせなければなりません。
高齢者福祉課だけの問題ではなく、他の課と連携して高齢者を救済しなければならないわけです。
区役所内の連携というのは、縦割り行政のシステム上、なかなか難しいのが現実のようですが、こういうときこそ外部者である私がアドバイスさせていただくと、区の職員の方も弁護士のせいにして動きやすいというものです。
こういう高齢者虐待検討会を設けている区はとても少ないようです。
私が知る限り、墨田区のほかは、荒川区、豊島区、中野区くらいです。
他の区では、地域包括支援センターの職員が虐待だと感じていていも、実際にどう動いていいかわからないそうで、虐待が放置されがちなようです。
高齢者に対する虐待は、ただでさえなかなか発見されないのに、対応が遅れがちでは、虐待を受けている高齢者はかわいそうです。
こういう相談会が他の区でもたくさん開催されればいいのになぁ、と感じます。
(小倉)