東京都文京区で弁護士をしている小倉です。
先日、高齢者虐待防止検討会に出席してきました。
これは、東京三弁護士会の委員が集まって、高齢者虐待の事例を検討する委員会です。
第一東京から出席する委員が少ない中、私はなぜか丸2年出席しています。
その検討した事例で、被後見人が賃借しているマンションの賃貸借契約を解除することに制限はないか、について問題になりました。
居住用不動産の売却については、家庭裁判所の許可が必要です(民法859条の3)。
同様に、居住用の不動産の賃貸借契約の解除にも、家庭裁判所の許可が必要であり、民法859条の3に明言されています。
解除については、私は見逃していました。
考えてみれば、同条は、被後見人が簡単に居住場所を失ってはならないという趣旨ですから、売却であれ、賃貸であれ、居住用不動産を失わせる行為は、家裁の許可を要すべきです。
しかも、この859条の3は、876条の5第2項で保佐に、876条の10第1項で補助に準用されています。
ですから、後見、保佐、補助とも、本人の住んでいる場所を失わせるには、常に家裁の許可が必要になるわけです。
相談をしてきた地域包括センターの職員は、私と同様にこのことを知らなかったそうで、意外と盲点だな、と感じました。
後見の仕事は、細かい条文が多く、間違いやすいものですね。
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