東京電力に対する損害賠償請求の臨み方

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時事問題_アイコン東京都文京区で弁護士をしている小倉です。

現在、弁護団を組んで、東京電力に対する損害賠償請求の事件を行っているのですが、東京電力に対する臨み方について、議論が絶えません。

東京電力は、「補償金ご請求のご案内」と題する書面を配り、補償金請求の仕方を統一しています。

営業損害(逸失利益)から変動費を差し引いた貢献利益(独特の用語だと思います)に、減収から20%を差し引いた率を乗じた金額が、賠償額だと勝手に決めています。

そして、勝手に決めた賠償額の結果を通知してきて、それに応じるか否かの択一回答を迫ります。

しかも、合意書の中に、「なお、上記金額の受領以降は、結果通知書記載の各金額及び本合意書記載の各金額について、一切の異議・追加の請求を申し立てることはありません。」との記載を入れ、被害者側からはもう請求できないように図っています。

貢献利益の出し方、20%を一律に引く方法、清算条項まで入れており、あまりに一方的な賠償請求の仕組みです。

そこで、弁護団でも、この東京電力が設定した方法に乗るべきか、議論になりました。

弁護士の中には、こんな一方的な賠償に応じる必要はない、ADRや訴訟を利用するべきだ、との意見もありました。

おそらく、その方が、公正で高価な賠償額が得られるはずです。

しかし、ADRや訴訟では、時間がかかります。

被害を受けた業者の中には、運転資金が苦しく、安価でも早期に賠償をほしい、と希望する業者もいます。

 

安くても、早く賠償金をあげないと、つぶれてしまう恐れがあります。

なので、東京電力の賠償方法で一旦出してみて、その結果通知を受けて、それに従うかどうか、各業者に判断してもらうことにするのが適切だ、という結論になりました。

安価でも賠償を受ける方を選ぶ業者、徹底的に戦う業者、それぞれの事情があり、弁護士がああしろこうしろと言えるものではありません。

この結論にたどり着くまで、ずいぶんかかりました。

 

こんな面倒をかけさせる東京電力に、むかっ腹が立ちます。

 

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