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配偶者の相続分割合規定の現状維持

相続、遺言

本年10月18日、法制審議会は、相続法制見直しに関するパブリックコメントの結果を公表し、配偶者の法定相続分を充実させる案について反対意見が多数を占めたため、民法部会で内容を見直すことを決めたとのことです。

 

この問題の背景には、長年夫を支え続けた妻に相続させる割合を増加させるべきだとの問題意識があります。

 

私は日弁連の高齢者障害者権利支援センターの委員であり、各種企画を立てる第4部会に属しています。

この第4部会では、この問題を法制審議会に対してどう答申するかこれまで議論を続けていました。

 

1つの案としては、被相続人の財産が婚姻後に一定割合以上に増加したときにそれに応じて配偶者の相続分を増やす案が出されていました。

しかし、これは基準が不明確なためか、あまり支持されていないようでした。

 

もう1つの案として、20年とか30年とか婚姻期間が長期の夫婦の場合に、配偶者の申し出により、その相続分を増やすという案が出されました。

例えば、子と配偶者が相続人であるときに、配偶者が申し出れば、配偶者3分の2、子3分の1にするというものです。

 

配偶者が財産増加に貢献した場合に、配偶者の相続分を増やしてあげたいという気持ちはよくわかります。

しかし、第4部会の議論では、国民が本当に配偶者の相続分引き上げる必要性や意識を持っているだろうか疑問に感じる人が多かったです。

 

昭和55年の民法改正のときに配偶者の相続割合が増加されました。

それ以前は配偶者3分の1、子3分の2の割合だったものを、改正で配偶者2分の1、子2分の1に変更したわけです。

昭和55年からそう長くは経っていない現時点で、それを新たに変更する必要があると国民が意識しているかと言われれば、そこまでは言い切れないだろうと思われるのです。

 

結局、本年夏ころ、配偶者の相続割合は、現行の民法の規定のまま、寄与分で調整すればいいという意見にまとまりました。

これを日弁連から法制審議会に答申し、今般発表されたとおりになりました。

 

相続法改正にあたっては、配偶者の長期居住権の保護、遺言制度の見直し、相続人以外の者の貢献を考慮する方策など現在議論しています。

しかし、法制化はまだまだ先のように感じます。

 

(小倉)


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